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飯塚病院
サンファイバー使用現場
飯塚病院様を訪問しました。
福岡県筑豊地域の拠点病院 飯塚病院。遠賀川沿いにあり、1,116 床 37 診療科 31 病棟 2,324 名のスタッフと大学病院並みの規模を誇り、地域住民の方々に医療サービスを提供されています。
今回は、病棟常駐の管理栄養士として、第一線の臨床現場で活躍されている栄養部臨床栄養部門 天野雅之先生にお話を伺いました。
飯塚病院
飯塚病院
栄養部 臨床栄養部門
天野 雅之先生
- 記者
- Q:早速ですが、サンファイバーをお知りになったきっかけを教えてください。
- 天野
先生 - 以前務めていた病院(千葉県)で、久留米大学病院の田中芳明教授の講演や論文などからサンファイバーを知りました。当時、よく、太陽化学の学術担当の方から情報提供いただいており、経管栄養の患者さんの下痢改善目的で、整腸作用を期待して使用しておりました。
- 記者
- Q:サンファイバーを採用されている理由を教えてください。
- 天野
先生 - オリゴ糖、糖アルコールおよび他の食物繊維と比較して、サンファイバーは分子量が大きいので浸透圧性の下痢が発症しにくいと思います。オリゴ糖のような低分子素材は吸収効率が低くなっている患者さんにとっては、浸透圧を上げる要因となります。
そのため、下痢の懸念がある患者さんには使用しづらい感触をもっています。サンファイバーは、発酵分解率が高い上に、短鎖脂肪酸の産生が多いところも採用の決め手にしています。 - 記者
- Q:サンファイバーはどのように使用していますか?
- 天野
先生 - 院内で、サンファイバーの1㎏タイプを購入して、薬剤部にて3g分封してもらっています。
- 記者
- Q:サンファイバーを使用されている患者さんはどのような方ですか?
- 天野
先生 - 下痢の発生や抗菌薬を投与されている患者さんの腸内環境のかく乱防止や維持目的での使用を提案しています。また、長期絶食中の患者さんの腸管機能維持や経管栄養へ移行する前準備としても推奨しています。投与方法は経管栄養の患者さんには30㎖以上の微温湯に溶解してもらい投与しています。経口摂取されている患者さんは飲料やお粥などに直接入れてもらいます。経口摂取の方のお飲み物、汁物に混ぜても風味が気にならない事も摂取してもらいやすい特徴の1つです。
- 記者
- Q:サンファイバーを血糖コントロールで使用した症例を発表されていますが、その症例についても教えてください。
- 天野
先生 - 病棟担当の笹栗管理栄養士の発表症例です。胃切除の糖尿病の患者さんで、低血糖のため、内服薬中止後、高血糖となり、血糖コントロールに苦慮しました。サンファイバー3gを食間の補食である飲み物と一緒に摂取していただいたところ、食後血糖値が安定し、アルブミン値も改善した症例です。
この時、食後の血糖値が安定化した上、下痢も改善しました。 - 記者
- Q:飯塚病院様の特色についても教えてください。
経営理念は、「We Deliver The Best −まごころ医療、まごころサービス それが私たちの目標です−」となっています。 - 天野
先生 - いろいろな所でチームが連携して動いており、問題点の改善活動も非常に盛んに行われています。外部の方も招いて、院内発表会も開催されています。
- 記者
- Q:栄養部のスタッフが約100 名いると伺いました。
- 天野
先生 - 栄養部は全スタッフ調理業務から配膳業務スタッフまで数えれば100 名ほどになりますが、その中で25 名の管理栄養士が在籍しています。
管理栄養士の業務は外来栄養指導、病棟業務があります。外来栄養指導は栄養相談室、保存期腎不全外来、血液透析センター、CAPD 外来に分けられます。病棟業務は1 人の管理栄養士が、1 〜複数の病棟を受け持っております。特に心臓血管外科、循環器内科、肝臓内科および内分泌・糖尿内科の病棟には、常駐体制で(管理栄養士が)配置されています。 - 記者
- Q:病棟配置の管理栄養士の仕事についておしえてください。
- 天野
先生 - 1日の内8割は病棟で勤務しています。患者さんの体調、栄養状態、食事摂取状況を確認し、治療の経過を考慮しつつ、どうすればより良い栄養管理ができるかを分析しています。そして必要に応じて食事の形態、内容調整、経腸栄養プランを主治医へ提案して栄養状態の改善に取り組んでおります。また、病棟の看護師、薬剤師、理学療法士、言語聴覚士と情報交換を行いながらチーム医療で患者さんに貢献できるよう活動しております。私は心臓血管外科病棟を担当しており、常時、30 名ぐらいの患者さんの栄養状態を見ています。
- 記者
- Q:いつも心がけていることはありますか?
- 天野
先生 - 患者さんのささいな変化に気づけるようになりたいです。そのためには病棟で患者さんに顔を覚えてもらう。更に患者さんに携わる病棟スタッフからも顔を覚えてもらう。そうすると患者さんに関わるすべての職種からいろいろな情報、相談がよせられるようになります。その内容をもとに患者さんの体も心も栄養管理できる管理栄養士を目指しています。現場100回なのかなと思います。患者さんのささいな変化も見逃さないことを心がけています。
天野雅之先生略歴
管理栄養士
平成8 年 中村学園大学家政学部食物栄養学科管理栄養士専攻卒業
平成9 年 中村調理師専門学校卒業
平成10 年 医療法人 原三信病院 栄養科 入職
平成11 年 医療法人 原三信病院 香椎原病院 栄養科 入職
平成14 年 医療法人財団 松圓会 東葛クリニック病院 栄養部 臨床栄養課 入職
平成23 年 飯塚病院 栄養部 入職
所属学会
日本静脈経腸栄養学会 NST 専門療法士